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Book cafe KANTAKA / 図書喫茶カンタカ

▫︎Project title: Book Cafe KANTAKA/a place like woods
▫︎Location: 3-30-6 Akitsucho, Higashimurayama-shi, Tokyo, Japan
▫︎Architect: 07BEACH / Joe Chikamori
▫︎Construction type/structure: renovation/steel
▫︎Gross floor area: 424.65 sq.m. (1F 247.86 + 2F 176.79)
▫︎Designing period: July.2019 – Oct.2020
▫︎Construction period: Aug.2020 – Dec.2020
▫︎Photographs: Yusuke Sato, 07BEACH
▫︎Contractor: Kanaya Keikaku
▫︎Lighting design: DAIKO
▫︎Tube amplifier sound system: Komatsu Sound Lab
▫︎Chairs: BELLBET
▫︎Timber: Forest Nishikawa

It is located in the suburbs, far from the hustle and bustle of the city center, facing the main road
in a quiet residential area with fields, rivers, and woods nearby.
The existing typical roadside restaurant-style building has been completely renovated into a book cafe. The client is involved in the preservation activities of the local woods and river.
Before starting the design, the following were told from him.
■To create a place where people can live in harmony with nature and create a sustainable lifestyle, relating the woods (Zoukibayashi*) to agriculture and food.
*Zouibayashi is the Japanese word for human-made woods that is not a natural forest, but close to people’s daily lives and has been maintained and utilized through human care and It used to be the original landscape of this region but now the relationship between humans and woods has collapsed.
■To create a place where people, from children to the elderly, can feel at home, especially children in order to achieve a sustainable society and community.
■To make use of the owned 40,000 books to create a library where people can feel and think about nature and important things we want to preserve.
■To create a place that provides opportunities to experience food, greenery, culture, and art.

In order to understand the client’s thoughts, the designer walked through the woods and the riverside and had been thinking about how to express the client’s thoughts in a concrete form. Not only create a friendly place with plenty of wood but also expressing Zoukibayashi in the space and including the inspiration of the river somewhere were requested. Finding the answers to these requests was an enjoyable challenge for the designer.

▫︎プロジェクトタイトル:図書喫茶カンタカ/雑木林の様な場を目指して
▫︎物件所在地: 東京都東村山市秋津町3丁目30-6
▫︎設計: 07BEACH / 近森 穣
▫︎工事種別/構造: 改修/鉄骨造
▫︎延床面積: 424.65 m2 (1F 247.86 + 2F 176.79)
▫︎設計期間: 2019年7月 – 2020年10月
▫︎施工期間: 2020年8月 – 2020年12月
▫︎竣工写真: 佐藤 勇介, 07BEACH
▫︎施工: 金谷計画
▫︎照明計画: DAIKO
▫︎音響,真空管アンプ: 小松音響研究所
▫︎椅子: BELLBET
▫︎木材: フォレスト西川

店は都心の喧騒から離れた郊外の、近隣には畑や川や林などがある長閑な住宅街の幹線道路に面して建っている。 いかにもロードサイド型大型飲食店風の既存建築をブックカフェへと全面改修を行った。 クライアントはその地元の雑木林や川の保全活動に取り組んでおり、デザインを着手するにあたって 以下のような事が伝えられた。
■食を通じ自然と人との共生、持続可能なライフスタイルを創造出来る様な場にしたい。
■生活感のある落ち着いた場所にし、子供から高齢者まで、特に持続可能な社会・地域を目指すためには 子供を大切にしないといけない。
■所有している約4万冊の書籍を活かし「残していきたい自然、大切なもの」 を感じ考えてもらえる様な図書館にしたい。
■食やみどりに関する体験の機会などを提供し、文化・芸術、知的なものに触れられる場にしたい。
■特に雑木林は武蔵野の原風景であったが、人との関係が崩れてしまった現在、雑木林と農業・食とを関係付けながら、 人とみどりとの新たな可能性を見いだしていけるような場にしたい。

こう言った思いを汲み取るべく雑木林や川原を歩きその体験とクライアントが持つ思いをどのように具体化して いけば良いか考えていった。地元の木をふんだんに使い親しみ易い場を作ると言う事だけではなく、 雑木林を空間に表現し、川のイメージをどこかに入れる。こうしたクライアントからのリクエストへの答えを 探していくことは創造的な設計行為が行えている喜びが感じられ難しくもやりがいのある仕事となった。

[デザインの源となった地元の風景]
クライアントが保全活動に参加する地元の雑木林や川。
こうした風景を想像しながらデザインを行なっていった。

[影の演出のテスト] 光源の種類や吊り下げる距離などを確認した。 [完成した状態] アクリル板が光を下方に通過させつつ上方にも反射させる事で 一つの対象が天井と床に同時に影を描く。  [影による演出] 壁などに直接グラフィックを描くようなやり方ではなく、 もっと好奇心を刺激する様な方法で雑木林を表現しようと、アクリル板に落ち葉のグラフィックを 描き影を落とすことを考えた。その後実際にクライアントが保全活動をしている雑木林から 入手した落ち葉を用い、影が天井にも照り返る案へと発展して行った。 落ち葉の影をテーブルや床に落とす事で、雑木林のイメージが店全体に広がり、 それは影絵の様に子供の好奇心を刺激する仕掛けとなる。

(上)クライアントが清掃活動に参加する柳瀬川の川原 (中)川砂利で仕上げたカウンター (下)川面のイメージのガラス板が架かる [地元の川をイメージしたカウンター] どこかに川をイメージした表現を入れて欲しいとリクエストをもらい、カウンターを川砂利で仕上げ、そこに川面のイメージのガラス板を渡す事を考えた。

[吊り下げコンセントとペンダントライト] 床コンセントは客席の自由なレイアウト変更に対し使い勝手悪い面があり、 より利便性の高いコンセントとして、取り外しや移動が可能な配線ダクトからの吊り下げ式とし、 ペンダントライトと意匠を揃え、不規則な高さに吊る事で目線の高さに賑わいを与え、 雑木林のような雑多な空間の心地良さを表現した。 またコンセントが目を引く意匠として存在する事はこの店が勉強や仕事の為にゆっくり出来る場で ある事をお客さんに印象付け継続的な来店へ寄与すると考えた。

[絵本のための本棚] 小さな箱を45度振って重ねることで陰影のある表情が生まれ、1つの箱毎に1冊は表紙が 展示される。これにより本自体の彩によって空間に賑わいが生まれる。
[テーブルデザイン] テーブルデザインにおいても雑木林のイメージに繋がるような、生物的な印象や雑然とした中の 居心地を作り出すものにしたいと考え、不整形な形態に色のばらつきを与えた。 それは機能面においても、従来の四角いテーブルの様に2人席、4人席と定員数が認識しやすかったり、 自分のテーブル、他人のテーブルと区切りがされやすいものではなく、捉え所のない形によって 柔軟に人数の変化を受け入れやすくなり、画一的に向かい合うのとは違い、他者との様々な距離や 角度が生まれる事で自然と相席を許容しやすい環境になるのではと考えた。 それは雑木林の中で人それぞれが居心地の良い場所を見つけて座るような感覚のものになるのでは ないかと考えた。

状況に合わせ大きな1台としても分割して2台としても使用される [物販商品陳列台] 子供の好奇心をくすぐり、雑木林の雑多さを表すようなものを目指しデザインするうちに生き物の様な形になっていった。店は宮崎駿監督の住む街にあり、その街は氏の人気作で描かれる風景のモデルとなった街でもある。 その様な場所にあって、のそのそと歩き出しそうな生き物的造形は皆が親しむ監督作品へ敬意を表す様なものとして、この店に合っているのではないかと考えた。

色のばらつきを作るため木部の塗装には複数の色が用いられた [物販棚] みどりの壁に重なり合う枝葉の様に棚が並ぶ。 ここでも木材の色を取り混ぜ整然とさせ過ぎない様にした。

[椅子] 椅子選びにおいても雑木林の雑多な居心地の良さを表そうと、 様々なビンテージ椅子に様々な張り地を貼った。

[2F] 1Fの図書喫茶空間と比較すると2Fは本を所蔵し、イベントに対応するためのシンプルでニュートラルな空間が求められた。その中で1Fで作ってきた雑木林のコンセプトととの繋がりを表現するために、また元々の平天井を解体し屋根勾配に合わせた傾斜天井へ作り替え高さ方向に伸びやかになった特性を強調するように、傾斜天井まで届く本棚を本による木立のようなイメージでデザインした。1、2階を通して造作材は地元の西川材と呼ばれる杉を用いた。